環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業
2023年、“環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業”として国と36の機関が結集し、使用済み自動車の自動精緻解体・再資源化の実証を実施しました。
ここで得られた成果を基に、2025年6月BlueRebirth協議会が立ち上がりました。
目次
1. 事業概要
2. 事業の対象車種と実証・検証内容
3. 技術実証の成果
4. 参画企業・大学と役割
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1. 事業概要
本事業では、自動車リサイクルに関わる製造業者やリサイクル業者などが連携し、高品質な再生材の利用拡大に向けた技術開発を進め、将来的な社会実装を見据えた実証を行いました。
具体的には、自動車製造業のロボティクス技術を活用し、使用済み自動車を自動精緻解体することで、高純度な再生材を効率よく大量に抽出するための技術実証を行いました。またこの取り組みを通して、再生材を新しい自動車の製造に再び活用する水平リサイクルCar to Carの実現可能性を検証しました。
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2. 対象車種と実証内容
本事業では、軽自動車、軽商用車、電気自動車、ハイブリッド車の4つからそれぞれ1車種を対象とし、
次の6つの要素で実証・検証を行いました:
1. 精緻な車両解体
2. 精緻な部品解体と自動解体プログラムの動作実証
3. 素材の分離と高純度化処理
4. 再資源化
5. 部品の品質評価
6. LCA(ライフサイクルアセスメント)評価
これらの取り組みにより、自動精緻解体によって得られる再生材の「質・量・コスト」の試算を行いました。
さらに、自動精緻解体を核とした新たな動静脈エコシステムを社会実装するための課題を抽出しました。
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3. 技術実証の成果
成果① 使用済み自動車の80%以上を単一素材化できることを実証
自動精緻解体により使用済み自動車から重量ベースで80%以上を単一素材化できることを実証しました。
成果② 難解体部品の分解により90%以上を単一素材化できることを仮説立て
接着などの難解体部品の分解まで行うと、重量ベースで90%以上を単一素材化することが可能であることを仮説立てしました。
成果③ 再生材を用いた部品の試作評価を実施
再資源化プロセスで作られた再生材を用い、複数の自動車部品(例:ドアトリム、グラブボックス等)の試作・評価を実施しました。
成果④ 自動精緻解体プロセスによるCO2排出量の削減を算出
自動車1台あたりの自動精緻解体プロセスによる温室効果ガス排出量は、-964kg-CO2eとなりました。
従来解体では1台あたり-330kg-CO2e であるため、自動精緻解体プロセスによって634kg-CO2eが削減される結果となりました。
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4. 参画企業・大学と役割
主な役割 企業/大学名
自動車および自動車部品の精緻解体・解体データの取得:
リバー株式会社、金城産業株式会社、九州メタル産業株式会社、株式会社マテック
自動車部品解体システムの開発:
株式会社デンソー
解体で抽出された素材の高純度化:
学校法人 早稲田大学
自動車部品用の品質に適合させる再資源化プロセスの開発と再生材の評価:
DIC株式会社、株式会社UACJ、住友化学株式会社、大同特殊鋼株式会社、東レ株式会社、古河電気工業株式会社、三井化学株式会社 他5社
再生材を用いた自動車部品部品評価:
豊田合成株式会社、トヨタ紡織株式会社
プロジェクトマネジメント・CO2排出量削減効果の評価支援:
株式会社野村総合研究所
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詳しい実績につきましては、下記の関連リンクより環境省の「令和5年度 自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業 成果報告書」をご覧ください。